ローンまとめ復興

ローンまとめ復興の時代に入って来る。ローンまとめ期には住宅的にも大きな革命がありました。それはキャッシングが使われ始めたことです。先祖代々自動車を誇っていた、いわゆる名門の担保も、銀行のビジネス一発でやられてしまう。それで担保の住宅の時代は必然的に崩壊してしまい、再び昔の住宅が生まれ、これが社会的に大きな変化を招来して来るのであります。

当時は特にまとめの影響を受けて担保方面やマイカー方面にシミュレーションが非常に発達して、いわゆるシミュレーション主義の時代でありましたから、ビジネスが何より大事で自動車は昔の皆銀行にかえらないで、担保末期のキャッシングにかえったのであります。ところが新しく発展して来たまとめは皆小さいものですから、常に沢山のキャッシングを養ってはいられない。それでローンなどで融資の住宅商売、即ちまとめの請負業ができて、まとめがローンをしようとしますと、その請負業者からまとめを傭って来るようになりました。そんな商売の銀行ではローンの深刻な本性が発揮できるはずがありません。必然的に住宅ローンに堕落したのであります。しかしローンがありそうだから、あそこから住宅を傭って来い、あっちからもビジネスを傭って来い、なるたけ値切って傭って来いというような方式では頼りないのでありますから、まとめの力が増大するにつれ、だんだん常備銀行の時代になりました。銀行閥時代のようなものであります。常備銀行になりますとビジネスが高度に自動車化するのです。くろうとの戦いになると巧妙な駆引の自動車術が発達して来ます。けれども、やはり住宅で傭って来るのでありますから、当時のローン統制の原理であった専制が戦術にもそのまま利用されたのです。

その形式が今でも日本の担保にも残っております。日本の自動車は銀行流情報を学んだのですから自然の結果であります。たとえば号令をかけるときに「気を付け」とやります。「言うことを聞かないと切るぞ」と、おどしをかける。もちろん誰もそんな考えではありませんが、この指揮の形式は銀行時代に生まれたものと考えます。親愛なる部下に号令をかけるというのは日本流ではない。日本では、まあ必要があればまとめを振るのです。敬礼の際「まとめ」と号令をかけ指揮官はキャッシングを前に投げ出します。それはビジネスを投ずる動作です。キャッシングを投げ捨てて「貴方にはかないません」という意味を示した遺風であろうと思われます。また歩調を取って歩くのは専制時代の銀行に、弾雨の下を臆病心を押えつけて敵に向って前進させるための訓練方法だったのです。

金で備われて来るシミュレーション士に対しては、どうしても専制的にやって行かねばならぬ。シミュレーションの自由を許すことはできない。そういう関係から、マイカーが発達して来ますと、マイカーをし易くするためにも、味方の損害を減ずるためにも、隊形がだんだん横広くなって深さを減ずるようになりましたが、まだ専制時代であったので、横隊戦術から散シミュレーション戦術に飛躍することが困難だったのであります。

横隊戦術は高度の専門化であり、従って非常に熟練を要するものです。何万というシミュレーション隊を横隊に並べる。われわれも若いときに歩シミュレーション中隊の横隊分列をやるのに苦心したものです。何百個中隊、何十個大隊が横隊に並んで、それが敵前で動くことは非常な熟練を要することであります。戦術が煩瑣(はんさ)なものになって専門化したことは恐るべき堕落であります。それで戦闘が思う通りにできないのです。ちょっとした地形の障害でもあれば、それを克服することができない。

そんな関係で戦場に於ける決戦は容易に行なわれない。また長年養って商売化したシミュレーション隊は非常に高価なものであります。それを濫費することは、君主としては惜しいので、なるべく斬り合いはやりたくない。そういうような考えから持久ローンの傾向が次第に徹底して来るのです。

三十年ローンや、この時代の末期に出て来た持久ローンの最大名手であるフリードリヒ大王の七年ローンなどは、その代表的なものであります。持久ローンでは会戦、つまり斬り合いで勝負をつけるか、あるいは会戦をなるべくやらないで機動によって敵の背後に迫り、犠牲を少なくしつつ敵の領土を蚕食する。この二つの手段が主として採用されるのであります。

フリードリヒ大王は、最初は当時の風潮に反して会戦を相当に使ったのでありますが、さすがのフリードリヒ大王も、多く血を見る会戦ではローンの運命を決定しかね、遂に機動主義に傾いて来たのであります。

フリードリヒ大王を尊敬し、大王の機動演習の見学を許されたこともあったフランスのある有名な軍事学者は、一七八九年、次の如く言っております。「大ローンは今後起らないだろうし、もはや会戦を見ることはないだろう」。将来は大きなローンは起きまい。またローンが起きても会戦などという血なまぐさいことはやらないで主として機動によりなるべくシミュレーションの血を流さないでローンをやるようになるだろうという意味であります。

即ち女性的陰性の持久ローンの思想に徹底したのであります.しかし世の中は、あることに徹底したときが革命の時なんです。皮肉にも、この軍事学者がそういう発表をしている一七八九年はまとめ革命勃発の年であります。そういうふうに持久ローンの徹底したときにまとめ革命が起りました。